2006年2月24日 (金)

天国の五人

ミッチ・アルボムさん。

フィラデルフィア出身でスポーツコラムニストだったひとの小説です。

普段はノンフィクションを書いていた人が書いた、フィクションです。

 

 

人が死んでから始まるのは、ミステリー小説ですが、この小説も人が死んだところから始まります。そして読者の知らないことを綴られていくので、そういった意味ではミステリーの一種なのかもしれません。でも犯人は居らず、死因は最初からはっきりしているのでミステリーではありません。

違うのは、これが「天国」(と呼べるものがあるとするならば)の物語だからです。

 

タイトルのとおり、年老いて身寄りも無く死んでしまった主人公のエディは、順々に五人の人たちが待っている場所を巡ってゆきます。

その五人は、エディの人生の大事な岐路に関わった人たちで、ヒトが生きていくこと、死んでいくこと、あの時、あの事件が起こった本当の理由、自分のココロの中に深く沈んでいたことを、エディは知って行きます。

五人は、エディにとって、意外なヒトでもあり、親しいヒトでもあり、知らないヒトでもあり、愛するヒトでもあります。でも、それぞれの岐路で、とても大切なヒトであったことを理解していきます。

 00054651

答えはすでにこの本の帯に書かれています。

「無駄な人生なんてひとつもない」

 

 

読んだ人たちの受け取り方は、それぞれ違うようです。エディの人生が必ずしも幸せでなかったことを悲しむ人もいます。だから何?といった感想を持つ人もいるようです。

 

ヒトは誰でも、あの時こうなっていれば、ああだったら、と夢想し、その分岐点から後を悔やんでみたりする一瞬があります。その時わからなかったことをあとから理解し、残念がったり、喜んだり、することがあります。

でもだれもが知ることはその時自分が必ず、一人ではなかった、ということです。

自分は自分の人生の本当のところを理解して死にたいと思います。その時、待っていてくれる五人は、いったい誰なんだろう、そんなことを、じっくり考えてしまいました。

やんわりと、泣ける本でした。

 

 

人気blogランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年2月20日 (月)

東野さん ②

「秘密」と「トキオ」は泣けたんだけど、残念ながら一緒に借りた「分身」「むかし僕が死んだ家」は泣けませんでした。

 

何故なんですかね。

そもそもミステリー作家に泣きを期待することが間違ってますか?

泣くんだったらもしかしてハーレクインのほうが泣けますか?

 

悪かったわけではないんです。「分身」はストーリーの流れは途中で全部読めてしまって、あとはどこをどう通ってどこに落とすか、が興味の対象で、まあすっきりまとまりました。

ネタバレってか、バレても問題ない設定だと思うんで言ってしまいますが、二人が最後に会った場所で光り輝く天啓でも降りて、超能力少女探偵シリーズかなんか始めて欲しい、すごーく長いイントロダクションのような物語です。いや、はっきり言って面白いです。

 4087485196

  4062635070

   4062113279

 

 

 

  

「むかし僕が死んだ家」のほうは、ちょっとチカラ技っぽいかな。

 

実は「秘密」原作読んだ後にレンタルビデオで映画版、観てしまいました。

正直言ってつらかったです。東野さんは映画化される際に、小説と映画は別物、という考え方で、一切口を出さないそうです。エンドロールでは、ご本人の名前もあり、どこかに登場されていたようです。その考え方には賛同します。

たとえば「トキオ」は以前TVドラマ化されてますよね。「白夜行」、一話以降見れてないんですが、てか青年版には惹き付けるものが無い。

これら原作とドラマ両方見てる方、その違いについて、または同じ点について、コメントいただけると嬉しいのですが。

 

考えて、「秘密」映画版は、「広末涼子の映画」だと思えば納得できることがわかりました。

彼女の魅力が良く出ています。ぱっと見で別人の雰囲気がちゃんと出ていて、演じ分けもよくできていました。何より文庫刊のあとがきで、広末さん本人が、上手くできていなかったらごめんなさい、みたいなことを言っていたので許す。(何様?)

もともと自分も広末ファンだし。ファンは必見、て、もう見てますよね。

 

 

と、つらつら書いてまいりましたが、実はうちの嫁さんに原作の「秘密」を読ませようと思ったんですが、途中でギブされてしまったんです。

もともと先に映画を見ていて、「母親の対応としてアレはどうよ」という印象だったそうで、原作もどうにも感情移入が出来なかったそうです。自分の周りはたいがい泣いてて、てか泣けるから読んでみろと言われてそのまんまだった自分と比べると、嫁さんの反応が意外です。そういうもんでしょうか。

 

そんな嫁さんは「冬ソナ」で大泣きしていてます。

冬ソナもチャレンジしてみようかな。

 

 

人気blogランキングへ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年2月10日 (金)

東野さん

最近本屋でコーナーができて平積みになっている、東野圭吾さん。

去年友達に薦められ、五冊借りて読んで二冊泣きました。

一冊は「秘密」、もう一冊は「トキオ」。

どちらも最後の5~6ページでやられます。構成力がすごい。

伏線が一つ残らずくるりと繋がってきれいな円ができる読後感。

 4167110067  

 

 

 

 

ラストは、事実としては小さなエピソードですが、

そんな些細なことで泣かしてくれるのはありがたいです。

一般的に人物が描けてない、と評されているようですが、

人物も上の二冊に関しては描けてると思うんだけどなぁ。

 

TV「白夜行」をちらちら見てますが、こちらも涙無くしては見られない。

子役、福田麻由子さんにやられました。上手です。

暗く、明るく、無理して、それでも正直に。

 

でも受賞作はまだ読んでいないのです。

ゆっくり、楽しみにとっておきます。

 

人気blogランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)