天国の五人
ミッチ・アルボムさん。
フィラデルフィア出身でスポーツコラムニストだったひとの小説です。
普段はノンフィクションを書いていた人が書いた、フィクションです。
人が死んでから始まるのは、ミステリー小説ですが、この小説も人が死んだところから始まります。そして読者の知らないことを綴られていくので、そういった意味ではミステリーの一種なのかもしれません。でも犯人は居らず、死因は最初からはっきりしているのでミステリーではありません。
違うのは、これが「天国」(と呼べるものがあるとするならば)の物語だからです。
タイトルのとおり、年老いて身寄りも無く死んでしまった主人公のエディは、順々に五人の人たちが待っている場所を巡ってゆきます。
その五人は、エディの人生の大事な岐路に関わった人たちで、ヒトが生きていくこと、死んでいくこと、あの時、あの事件が起こった本当の理由、自分のココロの中に深く沈んでいたことを、エディは知って行きます。
五人は、エディにとって、意外なヒトでもあり、親しいヒトでもあり、知らないヒトでもあり、愛するヒトでもあります。でも、それぞれの岐路で、とても大切なヒトであったことを理解していきます。
答えはすでにこの本の帯に書かれています。
「無駄な人生なんてひとつもない」
読んだ人たちの受け取り方は、それぞれ違うようです。エディの人生が必ずしも幸せでなかったことを悲しむ人もいます。だから何?といった感想を持つ人もいるようです。
ヒトは誰でも、あの時こうなっていれば、ああだったら、と夢想し、その分岐点から後を悔やんでみたりする一瞬があります。その時わからなかったことをあとから理解し、残念がったり、喜んだり、することがあります。
でもだれもが知ることはその時自分が必ず、一人ではなかった、ということです。
自分は自分の人生の本当のところを理解して死にたいと思います。その時、待っていてくれる五人は、いったい誰なんだろう、そんなことを、じっくり考えてしまいました。
やんわりと、泣ける本でした。
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